AI OCRとは?従来のOCRとの違いや種類、導入のメリットとポイント

  • 更新日: 2025年03月27日
  • 公開日: 2025年03月27日

AI OCRは業務の効率化を実現できる技術の一つです。請求書・納品書・申込書・注文書など、さまざまな書類の処理に活用することができます。導入によってどのような作業を効率化できるかを把握し、自社にとって適切なサービスを検討しましょう。この記事では、AI OCRの概要やOCRとの違い、基本的な種類、導入メリットなどを解説します。また、導入時のポイントもお伝えするので、ぜひ参考にご覧ください。

AI OCRとは?OCRとの違い

ここでは、AI OCRの基礎知識をご紹介します。従来のOCRとの違いを確かめておきましょう。

AI OCRとは

AI OCRとは、人工知能の技術を駆使したOCRシステムのことです。OCRは「Optical Character Reader(Recognition)」の略称で、「光学文字認識」ともいわれます。紙や画像上の文字を読み取ってデジタルデータへ変換する技術の総称となります。

AI OCRはさまざまなビジネスシーンで活用されています。例えば、請求書や領収書などを読み取ってシステムに取り込み、手入力作業を大幅に減らすことができます。RPAのような自動化ソリューションと連携させることで、さらに複雑な作業も実現可能です。

一般的なOCRとの違い

一般的なOCRとAI OCRの主な違いは読み取り精度にあります。従来のOCRでは手書きや崩れた文字などの認識率が低く、正確なデータ化が不可能な場面もありました。OCRにAIを搭載して上記の弱点を解消し、さらに性能を高めたものがAI OCRです。

機械学習を活用したAI OCRなら、手書き文字や特殊なフォントなども高い精度で読み取れます。学習を繰り返すことでさらに精度を高められるのもメリットです。

AI OCRの主な種類

AI OCRは3つの種類に大きく分けられます。ここでは、それぞれの特徴やメリット・デメリットを解説します。

汎用×定型フォーマット型

読み取れる帳票の種類に制限はないものの、決まったフォーマットを指定する必要があるタイプです。あらかじめフォーマットを設定し、「どの位置にどの情報があるか」を定義する必要があります。

文字の抽出精度が高く、幅広い帳票に対応可能な点はメリットです。対して、事前にフォーマットを定義する手間がかかる点や、指定したフォーマットの帳票しか対応できない点は留意が必要といえます。

汎用×非定型フォーマット型

読み取り可能な帳票に制限がない上に、フォーマットの事前定義が不要なタイプです。多様な種類の帳票を柔軟に読み取れるのがメリットとされます。

ただし、人力によるフォーマットの定義は必要ないものの、AIに事前学習させる必要があります。未学習のフォーマットは読み取り精度が低くなるか、読み取り不可となる可能性があります。

業務特化×非定型フォーマット型

特定の業務に特化したタイプです。ベンダーが事前にAI学習を行っているため、導入後はすぐに利用することができます。読み取り可能な帳票の種類は限られますが、仕訳のような特定業務に必要なデータも自動抽出できる点が強みです。

AI OCRを導入するメリット

AI OCRを使用すれば、これまで悩まされていたデータ入力の負荷を軽減することができます。以下では、AI OCRの具体的なメリットをご紹介します。

高精度で文字を認識できる

従来型のOCRは、事前に設定された規則やパターンに基づき、文字を識別していました。AI OCRは、AIに深層学習(ディープラーニング)を行わせることが可能です。万が一文字を誤認識した場合も、ミスのあった箇所を学習して改善できるようになりました。これまでのOCRではデジタル化が難しかった文字も、AI OCRなら高精度で読み取ってテキストデータに変換できます。

フォーマットが異なる帳票にも柔軟に対応できる

従来のOCRは、文字の読み取り位置や項目などを事前に設定する作業が必要でした。AI OCRはこういった作業が不要で、紙の資料をスキャンするだけで手軽に文字情報を読み取れます。異なるレイアウトの帳票にも柔軟に対応できる点は魅力です。

作業効率の向上が期待できる

AI OCRによって帳票の読み取りやデータ抽出が自動的に行えるようになり、手作業でのデータ入力を減らすことができます。作業効率向上につながるのはもちろん、人件費などのコスト削減にも有効です。書類をデジタル化して管理しやすくなるため、紙書類を減らしてペーパーレス化を進めたいときにも効果的でしょう。

加えて、RPAや業務システムなどと連携させることで、大幅な効率化を達成できるケースもあります。RPAは「Robotic Process Automation」の略称で、人間が行っていた作業を自動化できる仕組みのことです。AI OCRと併用すれば、データ抽出・集計・出力などの作業を一括で自動化することも可能です。

AI OCR導入のポイント

AI OCRを導入する際は、初期費用や月額料金だけではなく操作性や機能なども考慮し、自社にとって適したものを選ぶことが重要です。複数のサービスを比較して検討を進めましょう。ここでは、AI OCRの選び方のポイントや注意点をご紹介します。

使い勝手の良い製品を選ぶ

AI OCRのシステムが扱いにくいと、かえって効率が落ちてしまいます。操作が難しいとエラーの発生回数が増え、従業員のストレスにつながるでしょう。スムーズで直感的な操作が可能なツールを選ぶことがおすすめです。無料トライアルやデモンストレーションなどがあれば利用して、操作性を確認しましょう。

他のシステムと連携しやすい製品を選ぶ

自社ですでに導入しているRPAや会計ソフトなど、既存システムとの連携が可能かどうかにも着目しましょう。導入事例などもチェックし、自社と同様のシステムとの連携実績があるか確認することがポイントです。また、スムーズに連携できるかも確かめておきます。

サポート体制が充実している製品を選ぶ

現在は複数の企業がAI OCRを提供しており、それぞれフォロー体制は異なります。充実したサポートを受けられるサービスなら、AI OCRの導入が初めての場合も安心して利用可能です。トラブル発生時にすぐに相談できるか、迅速な対応が期待できるかを確かめておきましょう。

AI OCRを取り入れて業務効率向上を目指しましょう

AI OCRの概要や主な種類、導入効果、導入に際しての注意点などを解説しました。AI OCRを導入すれば大量の入力業務を削減し、より効率的に作業を進めることが可能です。その一方で、作業の最終的な調整や修正対応には、担当者による確認が欠かせません。社内で人手が不足している場合は、BPOサービスを活用して一部の業務を委託するのも一つの手です。機械と人がそれぞれ得意な作業を分担しながら、品質・コスト・スピードのバランスを取っていきましょう。

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CLOUD CABINET編集部

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