- 更新日: 2025年01月06日
- 公開日: 2024年12月27日
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従来の紙媒体の契約書から電子契約へ移行すると、多くのメリットを得られます。契約書管理などの業務を効率化したい場合は、電子化を検討すると良いでしょう。しかし、契約書によっては紙での発行・保管を求められるケースもあるため注意が必要です。
この記事では、契約書の電子化の特徴やメリット、導入に際しての注意点などをご紹介します。また、電子化の手順や、おすすめの契約書管理サービスもお伝えするので、ぜひ参考にご覧ください。
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契約書の電子化の概要
ここでは、契約書の電子化の基礎知識を解説します。概要や書面での契約との違いを把握しておきましょう。
契約書の電子化とは
契約書の電子化とは、従来は紙媒体で行っていた契約を、電子データを使用した契約方法へ切り替えることです。電子署名などを用いて電子データで契約締結することを「電子契約」と呼びます。
なお、電子署名とは紙媒体の契約書でいう「印鑑」や「サイン」に該当するものです。電子証明書を利用した電子署名を使うことで、契約書が原本であり、改ざんされていないことを証明できます。
紙の契約書と電子契約の違い
紙の契約書から電子契約へ切り替えると、契約書の媒体はもちろん、署名方法・受け渡し方法・保管方法などのさまざまな部分が変わります。例えば、紙の契約書では当事者の記名押印やサインなどで署名を行いますが、電子契約の場合は電子署名を使うのが基本です。原本の受け渡しについても、紙の場合は郵送や持参などの方法が挙げられますが、電子契約ならメールやクラウドサービスなどで手軽に送信・受信できます。オンライン上で手続きを完結させられるため、契約完了までのフローがよりスムーズになります。
契約書を電子化するメリット・デメリット
契約書の電子化のメリット
コストの削減
契約書の種類や契約内容によっては、印紙税法によって定められた印紙税を納める必要があります。一方、電子契約は印紙税の課税文書ではないとされるため、収入印紙代が不要になります。印刷代やコピー用紙の料金、郵送代なども削減可能です。加えて、書類の場合は物理的な保管場所の確保が必要ですが、電子文書であればサーバー上やクラウド上に保存できます。電子化によって、保管コストの削減も行えます。
このように、契約書を電子化するとさまざまな部分の費用を削ることができます。従来の紙媒体による契約と比べると、大幅なコストカットを実現できるでしょう。
業務の効率化
ペーパーレス化によって業務効率化を叶えられます。紙の場合は印刷・保管・整理の手間が発生しますが、電子ファイルならこれらの管理作業が不要となります。保管中の契約書を探す際も、検索してすぐに閲覧できるのが魅力です。
なお、過去に紙で作成した契約書は、スキャナーでスキャンする、カメラで撮影するといった手段で電子ファイルとして保存できます。保存の際は、「e-文書法」や「電子帳簿保存法」などの法律で定められた規定を守らなくてはなりません。契約書類の量が膨大な場合は、スキャンや整理に多くの手間がかかる点に留意しましょう。
管理体制の強化
契約書の電子化はリスク管理にもつながります。例えば、契約書の閲覧権限を設定すれば、不特定多数に見られるリスクを低減し、情報流出を防ぎやすくなります。
電子署名やタイムスタンプにより、改ざん防止につなげられるのもメリットです。タイムスタンプは電子文書が複製・改ざんされていない事実を証明する技術です。付与された時間に確実に電子データが存在しており、その時点から変更が加えられていないことを明らかにできます。これらの技術を活用すればセキュリティが向上し、トラブルの抑止が期待できます。
リードタイムの短縮
紙の契約書では、契約書作成後に郵送し、確認後に返送してもらうなど時間がかかりやすいのが注意点です。契約相手とのやり取りに手間がかかり、一つの案件を終えるまでに多くの時間を必要とします。
それに対して、電子契約ならクラウド上でデータをチェックしてスピーディーに契約できます。ワークフローがよりスマートになり、契約締結までのリードタイム短縮も実現できるでしょう。システム上で進捗状況が可視化できるため、作業の遅延や漏れが起こりにくいのも魅力です。
リモートワークの対応が容易
電子契約は書面作成や持参、押印などが不要であり、時間や場所の制約もなく契約できます。「印鑑を押すためだけに出社する」といった事態を防ぎ、リモートワークにも柔軟に対応可能です。働き方改革を推進する企業にとってもメリットが大きいといえます。契約業務が円滑に進むようになり、担当者の負担軽減も期待できるでしょう。
契約書の電子化のデメリット
電子契約の導入後は、既存の業務フローを変更しなくてはなりません。オペレーションを再構築した後、従業員へ周知する時間が必要です。
また、契約書の電子化には取引先の同意が必要となります。電子契約システムによっては、取引先へのシステム導入が必須とされるケースがあります。万が一、相手方の合意を得られないのであれば、紙の契約書を併用する必要性があるでしょう。また、不正アクセスなどへのセキュリティ対策についても留意しておきたいところです。導入するシステムやサービスによってセキュリティ対策の方法が異なるため、事前に確認しておきましょう。
さらに、すべての契約を電子契約にすることはできない点にも注意が必要です。法令の定めにより紙の書面が求められるケースがあります。例えば、「宅地建物売買等媒介契約」「任意後見契約」「事業用定期借地契約」「企業担保権の設定又は変更を目的とする契約」などでは紙の契約書が必須です。
契約書の電子化の流れ
契約書を電子化するときは、自社の状況を把握してから移行を進めていきましょう。ここでは、電子契約を取り入れる際の基本的な流れを解説します。
Step1.自社の現状の確認
自社の契約が電子化に対応できるか、関連する法律を確認します。契約書を電子化する際は、「IT書面一括法」「e-文書法」「電子帳簿保存法」などに定められた内容に準拠しなくてはいけません。IT書面一括法は、書面交付が義務とされる契約なども電子的手段で交付可能とする法律です。e-文書法は書面のデータ保存に関する法律、電子帳簿保存法は国税関係帳簿書類の保存に関する法律となります。
各法律を細かく調査し、要件を満たすように契約書を管理するのは困難です。電子契約サービスを探す際は、各要件に対応しているシステムを選びましょう。
Step2.取引先に契約書の電子化の同意を求める
取引先へ電子化を進めている旨を説明し、同意を求めます。スムーズに理解を得られるよう、取引先にとっても導入メリットが大きいことをアピールしましょう。契約締結までのスピードが上がり、情報漏洩や不正対策も行いやすいといった魅力を丁寧に伝えることが大切です。
Step3.社内の業務フローを整備する
電子化に伴い、自社内の契約書関連業務のフローを整備します。この機会に承認や申請などのプロセスを見つめ直し、工数を削減できる箇所がないか確かめると良いでしょう。また、システムの操作方法を習得するため、必要に応じて社員向けの説明会を実施します。
紙との併用がスムーズなシステムを活用して契約書の電子化を進めましょう
契約書電子化の概要やメリット・デメリット、電子化の流れなどを解説しました。紙の契約書から電子契約にすることで、コストの節減や業務効率向上などの効果が期待できます。不正防止対策の強化につながるほか、リードタイム短縮やリモートワークへの対応をできるのがメリットです。ただし、すべての契約書が電子化できるわけではありません。取引先が紙の契約書を希望する場合もあるため、書面の契約書を完全になくすのは難しいといえます。そのため、紙と電子契約を併用していくパターンは少なくないでしょう。
契約書の媒体が異なると一元管理しにくく、かえって煩雑になってしまうことがあります。電子化に伴う書類保管の悩みを解決するなら、文書管理システムの「CLOUD CABINET」をご検討ください。「CLOUD CABINET」は紙の契約書と電子契約を一括管理できるサービスで、紙の原本は倉庫に保管してシステム上で確認可能になります。紙の文書やスキャンした文書、電子契約システムで発行した文書なども、一つのシステムでまとめて管理できます。保管中の書類は「リモートスキャン」機能で電子化可能です。サービスの詳細について気になる際は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
この記事を書いた人
CLOUD CABINET編集部
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