- 更新日: 2025年01月06日
- 公開日: 2024年12月26日
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給与明細を紙で交付していると、印刷代や人件費などのコストが発生します。枚数が多くなるほど担当者の負担も増加するうえ、リソースを圧迫するのも課題となりやすい部分です。給与明細を電子化すると、こういった問題を改善につなげられます。自社に合う電子化の方法を選び、スムーズな運用を目指しましょう。
この記事では、給与明細電子化の基礎知識やメリット・デメリット、導入手順、注意点などを解説します。
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給与明細の電子化とは
給与明細の電子化とは、従来の紙媒体の給与明細を電子データとして交付することを指します。従業員に給与明細を電子交付する方法は、主に以下の2つです。
- 電子メールでの送信
- システム上での閲覧
電子メールを使った方法では、PDFファイル形式の給与明細書を添付するのが一般的です。給与計算システムなどを利用している場合、従業員が個々のアカウントでログインし、Web上で明細を閲覧できるケースがあります。
給与明細の電子化のメリットやデメリット
給与明細の電子化は、コスト削減や業務効率化、ミスの削減など、さまざまなメリットがあります。一方でセキュリティやITツールの導入にかかる工数などのデメリットも存在します。メリット・デメリットをしっかりと比較して、電子化を検討することが重要です。
給与明細の電子化のメリット
【管理者側のメリット】発行コストの削減
電子化することで、給与計算ソフトで作成した給与明細を印刷せずに電子ファイルで交付できるようになります。紙やインクなどの購入費用や印刷代などを削減可能です。手渡しではなく郵送していた場合は、封筒や郵送代金なども不要になります。
また、ペーパーレス化によって紙の給与明細の保管スペースも必要なくなります。保管場所にかかるコストがなくなることもメリットの一つです。加えて、発行作業を行う従業員の人件費削減にもつながります。
【管理者側のメリット】業務の効率化
給与明細を電子化すると、手作業で行っていた印刷や封入、配付などの作業がなくなります。担当者の手間を軽減し、業務効率化に役立つのも魅力です。給与明細の処理時間の削減によって、会計部門や人事部門などのリソースにも余剰が生まれます。その他の業務に割り当てられる時間が増え、生産性向上にもつながるでしょう。
【管理者側のメリット】ミスの削減
手作業による複雑な給与計算業務は、どれだけ気をつけていてもミスが生じてしまう可能性があります。電子化に際して給与計算システムを導入した場合、金額の計算やエラーチェックなどをすべて自動化できます。計算ミスをはじめとする人為的なミスを防止できる点もメリットです。
【管理者側のメリット】勤怠管理システムと連携できる
給与明細の電子化システムは、既存の勤怠管理システムと連携できるケースが多く見られます。勤怠データが自動的に給与明細に反映されるシステムを活用すれば、手動入力や目視確認が不要になります。毎月の給料日前は給与支払いのために業務量が増加する企業も少なくありませんが、システム導入後は負担を軽減できるでしょう。
【従業員側のメリット】いつでも給与明細を確認できる
電子交付された給与明細は、PCやスマートフォンなどの端末を利用し、いつでも・どこでも確認できるようになります。過去の明細が必要になった場合もすみやかに検索できるため便利です。
クラウドサービスを利用した電子交付であれば、インターネットに接続すればすぐにアクセス可能です。メールによる配付であれば、受信ボックスをさかのぼれば閲覧できます。給与明細の電子化は従業員の利便性向上にもつながるでしょう。オフィス外でも給与明細が確認できることで、テレワーク促進にも寄与します。
【管理者側と従業員側共通のメリット】給与明細の紛失の防止
紙の給与明細には紛失のリスクがあります。それに対して、電子化することでクラウド上に給与情報を保存できるようになれば、紛失リスクもなくせます。バックアップをとっておけば、万が一データが破損した際も復元可能です。
給与明細の電子化のデメリット
情報漏洩のリスクがある
給与明細の電子化には情報漏洩リスクがある点に留意が必要です。メールアドレスの間違いやサイバー攻撃、不正アクセスなど、さまざまなパターンで給与データが流出してしまうおそれがあります。給与所得に関する内容は個人情報であり、会社側は徹底して漏洩を防ぐ必要があります。
電子化サービス導入の際は、セキュリティ面も重視して自社に合うサービスを選定することが重要です。メール配信の際は十分にチェックして誤送信を防止する、パスワードを設定するなどの方法で対策しましょう。
既存の業務フローを変更する必要がある
従来、書面で配付していたところをデジタルに切り替える場合、業務フローが大幅に変更されます。紙での給与明細発行に慣れている担当者が、電子化に対応するための時間が必要です。スムーズに移行するためには操作方法が簡単なシステムにするほか、導入サポートの充実したサービスを選ぶと安心です。
給与明細を電子化する際の手順
給与明細の電子化は、以下のような流れで進めていくことになります。こちらでは、給与明細の電子化システムを導入する場合の進め方をステップ別に解説します。
Step1.従業員の同意を得る
給与明細の電子化には従業員の同意が必要です。法律上、従業員の合意なしには給与明細の電子化は行えません。なるべく多くの従業員から理解を得られるよう、電子化の意義や期待できるメリットなどを説明しておくと安心です。
また、事前に同意書を作成しておく必要があります。決まった形式はありませんがテンプレートを活用すると容易に作成可能です。給与明細の電子化サービスによっては、初回ログインの際に同意の意思確認を行えることもあります。
Step2.電子化システムを導入する
従業員の合意を得られたら、自社に合った電子化システムを導入します。機能や初期費用、月額料金などはサービスによって異なるため、各社の製品を比較検討することが大切です。例えば、給与明細の電子化に加えて、給与計算機能や人事・労務管理機能などを搭載しているサービスもあります。
また、現在使用しているシステムとの相性も考慮することがポイントです。選択した電子化システムによっては、既存システムを一新したほうが良い場合もあります。
Step3.電子化した給与明細を配信する
適切なシステムの導入が実現したら、電子化した給与明細を交付します。従業員に向けてシステムの具体的な操作方法をレクチャーしましょう。給与明細の閲覧方法やよくある質問などが記載された資料を作成して配布することも一つの方法です。
給与明細を電子化する際の注意点
給与明細の電子化を推進する際、いくつか注意しておきたい事項があります。以下の注意点を確認し、必要に応じて適切に対処しましょう。
同意を得られなかった従業員への対応策が必要になる
すべての従業員から電子交付の承諾を得られるとは限りません。同意を得られなかった従業員には、従来と同じ紙の給与明細を配付します。紙と電子化した給与明細の両方を発行するケースに備えておきましょう。
給与明細の交付期限を守る
所得税法231条によって、給与支給日までに必ず給与明細を交付する必要があると定められています。ただ、給与明細を電子化した後、システムエラーやネットワークトラブルなど、何らかの理由で交付が困難になるおそれがあります。交付期限を厳守するために、紙の給与明細を発行して対処することもある点を押さえておきましょう。
給与明細の電子化でコストカットや業務効率化を実現
紙の給与明細から電子データでの交付に切り替えると、発行にかかるコスト削減や人的ミスの防止、業務効率化などにつながります。電子化を進めれば、給与明細の交付に割いているリソースを別の業務に充当することも可能です。
ただし、電子化を行う場合は従業員の同意が必要です。同意を得られない場合、該当する社員には紙の給与明細を提供します。企業によっては電子と紙のどちらも発行・管理しなければならない可能性があります。形式の異なる書類はスマートな管理が難しく、かえって運用方法の手間が増えてしまうこともあるでしょう。
事業を行う上では、給与明細以外にも契約書や請求書などさまざまな書類を扱うことになります。電子化を推進していても、紙の書類と電子データを併用するケースは少なくありません。お悩みの際は、紙の契約書と電子契約を一括管理できる「CLOUD CABINET」をご検討ください。紙の原本管理やスキャン、文書管理など、契約管理に求められるソリューションをワンストップで提供します。詳細についてはどうぞお気軽にお問い合わせください。
この記事を書いた人
CLOUD CABINET編集部
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