契約書の保管方法は?適切な保管の重要性|紙・電子データ別の注意点

  • 更新日: 2025年01月06日
  • 公開日: 2024年12月16日

契約書の適切な保管は、企業運営において非常に重要で、法令に基づく保存期間を守ることが求められます。契約書は、取引情報や契約当事者の関係性を記録する重要な文書であり、法的なトラブルが生じた際には証拠としての役割を果たします。適切な保管を行うことで、情報漏洩や紛失のリスクを減らし、業務効率の向上も期待できます。本記事では、契約書の保管期間や保管方法、注意点について解説します。

契約書の保管とその重要性

法的リスクを避けるために契約書の保管期間を遵守し、適切に保管することの重要性について理解することが大切です。それらの重要性について理解を深め、適切に管理を行いましょう。

契約書の保管期間は何年?

契約書の保管期間は、法律によって定められています。会社法第432条2項では、会社は重要な文書を10年間保管する義務があると規定しています。一方、法人税法施行規則第59条では、税務上の書類を7年間保管することを求めています。このような場合、より長い期間である10年間の保存を推奨します。10年間保存することで、両方の法律の要件を満たすことができます

契約書の保管の重要性

契約書は、取引情報や契約内容を証明する重要な文書です。トラブルを避けるために、契約期間中のみならず契約終了後も廃棄をせず、一定期間適切に保存することで、税務調査などにおいて証拠資料となり、トラブルを避けることができます。

契約書の具体的な保管方法

契約書の保管方法には、紙での保管と電子データでの保管の2種類があります。紙で締結した契約書は基本的に紙のまま保管する必要があります。同様に、電子契約システムで締結した契約書のデータは、電子データでの保管が認められます。それぞれの保管方法について、具体的な手順と注意点を解説します。

紙で保存する

紙の契約書は、ファイリングして保管するのが一般的です。各ファイルにはタイトルを付け、企業名やサービス名ごとに五十音順や日付順で整理することが推奨されます。また、管理台帳を作成し、契約書の保管場所や内容を記録しておくと便利です。管理台帳とファイルを同じ場所に保管することで、契約書を探す際の手間が省けます。紙媒体の契約書は物理的な保管スペースを確保する必要があり、書庫やキャビネットに分類して保管します。

紙で保管するメリットは、書類が物理的に存在するため、出社している場合は閲覧しやすく取り扱いしやすい点です。注意点としては、保管スペースの確保が必要で、紙の劣化や紛失のリスクが伴います。また、契約書が不適切な場所に保管されると、情報漏洩のリスクが高まります。重要書類を保管する場合は、外部倉庫を利用することも検討すると良いでしょう。

電子データで保存する

スキャンして保存する

紙の契約書をスキャナで読み取り、PDFや画像ファイルとして保存します。また、スマートフォンやデジタルカメラで撮影して電子データ化することも可能です。

電子データでの保管のメリットは、ペーパーレス化によるコスト削減や検索性の向上、一元管理が可能である点です。注意点としてはデータの破損や消失のリスクが挙げられます。 データ保存する際は、信頼性の高いシステムを利用し、定期的にバックアップを取ることが重要です。データのダウンロードやバックアップを行い、データが消失しないよう対策してください。また、電子データは、保存期間や更新日を定期的に確認し、必要に応じてデータを整理します。保存期間が終了した契約書を適切に廃棄しつつ、新たに受領した契約書を保存することで、最新の状態で管理・閲覧が可能になります。

電子契約システムで締結したものをデータで保管する

電子契約システムを導入し、システムの仕組みに従って契約書を保管します。電子契約システムを使用して締結された契約書は、印刷することなくそのまま電子データとして保存できます。また、法律上はデータ自体が原本として取り扱われます。

電子契約システムで締結した契約書をデータで保管することで、印刷、スキャン、ファイリングなどの手間を省き、管理する人員にかかるコストの削減につながります。注意点としては導入するシステムによって機能や操作性が変わる点が挙げられます。よく比較検討してから導入を進めましょう。

契約書を保管する際のポイント

契約書を効率的に保管するためのポイントを紹介します。

契約書を紙で保管する場合

ルールを決めておく

紙の契約書を保管する際には、ルールを決めておくことが重要です。例えば、誰がいつ保管するのか、どの場所に保管するのかを明確にしておくことで、紛失や改ざんのリスクを減らせます。社内の管理でトラブルが起きないようマニュアルをあらかじめ作成しておくことが大切です。

穴あけパンチなどで穴をあけない

紙の契約書を保管する際には、ルールを決めておくことが重要です。例えば、誰がいつ保管するのか、どの場所に保管するのかを明確にしておくことで、紛失や改ざんのリスクを減らせます。社内の管理でトラブルが起きないようマニュアルをあらかじめ作成しておくことが大切です。

安全な場所に保管する

施錠できる場所に保管することで、勝手に持ち出されたり、改ざんされたりするリスクを避けることができます。紙の契約書の保管場所としては、書庫やキャビネットが一般的です。「契約書を保管する専用のキャビネットを使用する」「キャビネットはロックできるようにし、アクセス権限を持つ特定の担当者のみが鍵を待つ」など保管時のルールを整理しておきましょう。

契約書を電子データで保管する場合

契約書を電子データで保管する場合には、電子帳簿保存法の要件を厳守する必要があります。紙で受領した契約書をスキャンして、スキャン後のデータを保存する場合は「スキャナ保存」の要件。電子契約のように紙を発生させずに、電子的に書類の授受を行った場合は「電子取引」の要件にそれぞれ従う必要があります。
例としてスキャナ保存の要件を簡易的にいくつか紹介します。

  • スキャナ保存する文書は、原則として書面で受領したものであること。
  • スキャナで読み取った画像データは、すべての情報が鮮明に読み取れる状態であること。
  • 電子データには、タイムスタンプを付与して改ざん防止措置を講じること。
  • 検索機能を備えたシステムで管理し、必要に応じて迅速に情報を取り出せること。

電子データ化した場合であっても必要に応じて紙の原本を併せて保管することが推奨されています。万が一、スキャンデータが不鮮明だった場合、紙の原本があれば再スキャンが可能だからです。スキャナ保存と電子データ保存では要件が異なるため、保存区分に合わせた管理をしてください。

電子データで保管する場合は、セキュリティ対策が不可欠です。電子的な管理方法については、社内の担当者が適切に運用できるよう、研修やマニュアルを整備することが求められます。

契約書保管の効率化にはシステムの導入がおすすめ

契約書の管理においては、紙の契約書と電子データいずれの方法で保管する場合でも、適切な保管ができるよう体制を整える必要があります。契約書を保管する際には、社内ルールを明確に定め、適切な場所への保管やアクセス制限の設定、セキュリティ対策を実施することが重要です。情報漏洩や改ざんリスクを最小限に抑え、効率的な契約書管理を実現しましょう。

契約書の保管や管理を効率化するためには、適切なシステムやサービスを利用することがおすすめです。「CLOUD CABINET」は、契約書の保管に役立つサービスで、契約書の電子データ管理が容易になり、効率的に契約書を保管することができます。資料請求をしてサービス内容をご確認ください。

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CLOUD CABINET編集部

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